桜海老漁のこり二日

桜海老漁のこり二日

みなさん、こんにちは。
毎月、7日は三保から鉄が新鮮な海の情報をお届けしております。

今回は、6月の9日に桜海老の春の漁期が終了するので、サクラエビについてこれまで撮影したアーカイヴを交えてお届けしようと思います。

この風景は、先月の富士山の降雪のタイミングで撮影に行った富士川の河川敷で行われている「桜海老の天日干し」です。
https://www.city.shizuoka.lg.jp/294_000019.html
基本的に、春海老の漁期がメインになりますが、条件が合えば秋海老の漁期でも行われていることもあります。リンクを貼っておきましたので、タイミングが合えば是非!現地でご覧になってSNSで発信してください。
遠景の場合は大丈夫ですが、お願いをして干し場に近づく場合は、帽子を着用の上で撮影や見学してください。万が一、そよ風に吹かれて髪の毛が混じってしまうと製品に悪影響があるので、マナーの悪い人は嫌われます。ご注意をお願いします。

サクラエビについて少しだけふり返りたいと思います。

サクラエビは標準和名が提唱される前から「さくらえび」と呼ばれていたようで、それは漁獲された海老を素干しにして、山梨県などの山間部へ行商をしていた際に「さくらえび」として販売していたことに由来します。水中で観察されるサクラエビはほぼ透明で、赤の色素(カロチノイド)の影響はみられません。漁獲され更に素干しすると赤味を増します。
これから産卵期に入るため、秋海老の漁期までは禁漁となります。実は5月の中旬頃に頭の黒い「抱卵エビ」が漁獲されたので、数日間一時休業した経緯があります。
産卵は、駿河湾の中央で行われているようで、初期のノープリウス幼生をダイバーが観ることはありません。まぁフィールドに居ても認識できませんけどね(笑)。植プラだけでなく動プラを餌とするようになるアカントソーマ2期になると沿岸部でも見られることがあり、7~8mm程度の大きさの個体を複数撮影したことがあります。その時は、何故か分かりませんが、見た瞬間に「あ、サクラエビの幼生だ!」と直感が働き、執拗に撮影した記憶があります。

これまでも、何人かのダイバーとカメラマンの方には、サクラエビをガイドしたことがありますが、はっきり言って遭遇するのは「運」以外の何ものでもありません。時期やタイミングが合えば、遭遇率は上がりますので、漁をしているタイミングで声をかけていただければ、ご案内いたします。
ついでに、海中だけでなく陸でもサクラエビを食して、目と舌で思う存分、堪能していただきたいなぁ~と思います。

漁獲された桜海老には時期にもよりますが、いろいろな混獲生物がいます。この画像にも、ハダカイワシ(呼称くろんぼ)やタチウオの幼魚(通称しらが)が混じっています。最近は少なくなりましたが、以前はラブカや時にはメガマウスザメなんかも網に入ったことがあるそうです。漁獲された桜海老には厳格なルールがあって、その場で食べることは絶対にできませんが、混獲物は捨てて(最近は利用されています)しまうので、選別する際に食べることができます。それほどたくさん食べたいと思うような味ではありませんがまぁまぁの珍味です。これを食するのは、その時に船に乗った人の特権だと漁師さんたちは言っていますけどね。

翌日、天気が良ければ富士川の河川敷の干し場で、篩にかけながらばら撒きます。これは、体長の3~4倍の長さになる触角を除去するのと乾燥を促すためです。これも最近の傾向ですが、取り除かれた触角も別干しして、スナック菓子やふりかけなどに使用しています。それだけでも十分な香り付けと食品表示ができますからね。

金曜日の漁が終わると船から網を降ろして、翌週には船を陸揚げします。東名高速道路の由比付近で船が陸上に並んでいたら、春海老の漁が終わったんだなぁ~と思ってください。それでも、暫くはストックがあると思いますので、由比港の「浜のかきあげや」や市内の居酒屋では桜海老を食べることができます。
日曜日には久しぶりの「桜えびまつり」も開催が決まりましたので、ご興味のある方は参加ください。できれば、清水や富士辺りに車をおいて、電車でお越しいただくのが良いと思います。行けない人は、ネットショップもありますので、そちらをご利用いただき、旬の味をご堪能ください。
https://yuikou.jp/

今回は、水中のガイドだか陸上の桜海老ガイドなんだか分からない下りになりましたが、ガイドの仕事は陸の案内までできて一人前ですから、こんな投稿も良いかと思い編集いたしました。
桜海老に関しては、いろいろな思いがあり、台湾まで研究取材に行ったこともありますし、ブランディングのためにロゴや認証マークのデザインの募集の取組みをしたこともあります。
これからもこの貴重な食糧資源が後世に伝えられますように、駿河湾の海に対して真摯に取り組んでゆきたいと思います。