ユカタハタ物語

ユカタハタ物語

皆さん、こんにちは。今日は一日、沖縄久米島からです。

先月、お伝えしたユカタハタの幼魚も、元気に少しづつ成長してますが、他のポイントのタテスジハタの幼魚達とは違い成長が少し遅いです。

これは、もちろん、種の違いもありますが、育っていく生活環境、食生活が大きく作用してます。

 

 

この場所のユカタハタは、幼魚2匹と中成魚1匹と、成魚が2匹ほど居ます。

前回もお話した様に、ユカタハタの幼魚はキンギョハナダイの群れに混泳しながら身を隠し、自分より小さなキンギョハナダイの幼魚や

ベラの幼魚やスズメダイの幼魚を捕食しながら成長していきます。

そして、下の写真の7cmほどの大きさのユカタハタ中成魚は、大きさ的に、もっと大型の捕食魚から狙われますが、3~4cmほどのユカタハタ幼魚は

20cmほどのユカタハタ成魚からも常に狙われているのです。

 

中成魚になると、斑点も鮮明になり、もうすぐ成魚の仲間入りをしそうですが、他の捕食魚から狙われない様に、まだまだ、とても用心深いです。

 

 

成魚は、こんな風に構えながら、じっくりとチャンスを狙います。

 

 

3cmほどのユカタハタ幼魚が、傍にキンギョハナダイも居ないのに、無防備に穴から出てきました。

 

 

その途端、壁の上で獲物を狙っていたユカタハタの成魚が、「ズドーン!!!」って爆音がするくらいの猛ダッシュで襲って行きました。

しかし、よく、こんな猛ダッシュして、岩に当たらず、直前で急に止まれるもんだ?!っと感心します。

 

 

間一髪で、ユカタハタの幼魚は、ユカタハタの成魚の猛アタックから逃げましたが、暫く、しつこく幼魚が出て来ないか探ってました。

その後20分ほど観察してましたが、幼魚は成魚が居なくなっても、全く出て来なくなりました。

ハタの幼魚達よりハナダイの方が泳ぎは速いですし俊敏です。ハタは、サバンナのライオンの如く、一瞬の隙を突いて獲物を狙います。

同族食い?って不思議に思われるかもしれませんが、ハナダイを狙うよりハタの幼魚を狙った方が効率が良いのだと思われます。

こんな風に常に狙われていると、ユカタハタの幼魚達も、おちおち表に出れないので、当然、自分もあまり捕食出来ないので、成長も遅い

という訳です。

 

 

 

もう1匹の4cmほどのユカタハタの幼魚です。キンギョハナダイが傍に居ると割と穴から出てきます。

 

 

ユカタハタの幼魚ですが、正面から見ると、メギスの仲間のようですね。因みに、ユカタハタの幼魚やタテスジハタの幼魚は、

自分より小さいメギスの仲間のクレナイニセスズメの幼魚も捕食します。そして、クレナイニセスズメの成魚も、

自分より小さいキンギョハナダイの幼魚を捕食します。

ハタやメギスの仲間より数が多いハナダイ達は、群れで混泳しながら身を守りますが、常に自分より大きな捕食者から狙われてます。

弱肉強食の世界は、こんな小さな幼魚の世界でも当たり前の事なのです。

 

 

キンギョハナダイやアカネハナゴイに紛れながら、自分より大きな捕食魚から身を守っているタテスジハタの幼魚。

この子も、タテスジハタの成魚から狙われてました。このタテスジハタの幼魚にも、もちろん頑張って生き延びて欲しいけど、

この子が成長する為にキンギョハナダイの幼魚やアカネハナゴイの幼魚が捕食されていく事を考えると、なかなか微妙です。

でも、みんな、必死に生きているんです・・・。

こんな海のドキュメンタリーを、ぜひ、観に来てくださいね~!!!