怒涛のような1ヶ月でした

怒涛のような1ヶ月でした

七草粥を食べたのが昨日のような(んな訳ないですけど)気がしますが、既に1ヶ月が経っているとは?と驚いている三保の鉄です。
早速、水温が下がるとネタの温度が上がる反比例の法則がある海中情報をお届けします。

オオモンハタが何やら捕食した気配がしたので、近づいて1カット撮ってみましたが、正体が分かりません。

暫く、プレッシャーをかけながら(普段はストレスフリーですが、興味が先立ちました)観察を続けていると、石の下にもぐり込んだ瞬間に油断をしたのか、口からスルりと抜け出ました。

出てきても一向に何だか分かりませんが、アナゴのレプトっぽかったです。以前、ナイトで観察した時も似たような泳ぎ方をしていました。

泥地を徘徊していると、最近遭遇率が上がっているイトヨリダイの成魚がいました。画像では見えませんが、この右奥にももう1匹います。どうやら、産卵期を迎えているようで、観察頻度が向上しているようです。

さらに探察を続けるとスベスベオトヒメエビが合計で5個体も観察できました。その中でも最も小さく、ハサミの間隔が1cm程度の個体を見つけました。これは、今まで見た中で最小のものです。多分、若齢ということだけで種は一緒だと思います。

沖堤に到達したので、岩礁域の観察に切り替えました。

右奥がキンギョハナダイ、手前が上がアカオビハナダイ、その下の2匹がケラマハナダイです。よく見ると右上にミナミギンポの幼魚がいます。こいつは、ホンソメワケベラのペッカム型擬態でクリーニング待ちをしている魚の側に行って、ホンソメワケベラのクリーニングに身を委ねようとしている魚の鱗や鰭をかじります。だいたい、このように魚が密集している場合は、そこがクリーニングステーションであることが推察されます。なので、便乗商法のギンポも周辺を徘徊しています。

もぅ一つついでに、これはクロスジギンポのコガラシベラへのペッカム型擬態です。コガラシベラに擬態してもあまりメリットが無さそうに思うかもしれませんが、観察を続けているとその理由が分かります。

ニセクロスジギンポを筆頭に、ギンポの自己認知は非常に高いです。

私はこの1年ほどの間、ゼミ生の卒研のテーマである主に魚類の観察をかなりの頻度で行ってきました。そして、これまで認識していなかったレベルで海や生物を理解して、今まで考えが及ばなかった領域に踏み込みました。
あまりの面白さに、それまでの自分の観察の稚拙さに逆に感謝した(笑)くらいです。

これまで(2019)魚類で唯一自己認知が心のレベルまでできるのはホンソメワケベラだけだとされてきました。しかしながら、ミナミギンポもクロスジギンポもニセクロスジギンポも「あいつに僕はそっくりだ!」って分かっています。他にもそんなベラやギンポはいると思います。
卒研の口頭発表が終わったので、やっと公表することができました。また、さらに1年はこのコンセプトで研究を進めてみようと思います。
興味のある人は、ホンソメワケベラの鏡像自己認知で調べると実験のようすや理論が公表されています。

別件で、今回の卒研の口等発表で他のゼミ話ですが、魚にも右利き左利きがあるっていうのには笑ってしまいました。何を基準にそのように解釈したかというと、餌を食いちぎる行動で、どちらに回転するかで決定していました。みなさんも、必ずではありませんが、傾向的に左右どちらかの奥歯に咀嚼が偏ると思います。

2日間、興味深い発表が聞けて良かったです。