加速する熱量

加速する熱量

ここ清水から見る富士山の右側にチョコンと飛び出た宝永山の冠雪が確定すると冬が始まります。

10月はその雪が積もっては溶けを繰り返しますが、11月に入ると宝永山の雪は当たり前の景色となります。

それと呼応するかのように、真崎の海はそれまで手ぬるく表現して来た生物や風景をトップシーズンの色へと変化させ始めるのです。昨晩のダイビングは、そんな序章を真綿で締め上げるように垣間見せてくれました。

普通なら止めるべきレベルのナライの風でしたが、それほど波に力は無くドライスーツにサイドマウントの重装備でのエントリーでも問題ありませんでした。小雨がパラつく天気なので、止める選択肢はいくらでもありました。
それでも、潜降を開始して暫く進むとイワシの小さな群れに遭遇しました。動きと形状に違和感があったので撮影してみると、その全てがハダカイワシの仲間でした。

底に到達するとクロホシフエダイに混じってキュウセンフエダイがいました。

季節来遊魚の定番としては、ヒメフエダイ、ヨスジフエダイに続いて挙げられるフエダイの仲間ですが、今年はバラフエダイの幼魚まで見られたので、この手の魚も数多く真崎の海に到達したのだと思います。

更に、沖に向かって進むと

ウミウサギガイの産卵の影響で枯れたコエダモドキに着いたハネウミヒドラのところにアカスジカクレエビがいました。コエダモドキにも着きますが、ヒドロ虫の方がより好適環境なのでしょうね。

その横のコエダモドキに目を向けると

ポリプの下に放出の準備が整った熟成したプラヌラが見えました。この新月の大潮のタイミングを逸したということは、次の満月の大潮なのか、あるいは私が立ち去った後に放出をしたのかも知れません。

そして、そんな無理をしてまでも見たかったのがこの透明感の残るクダゴンベの幼魚でした。

そこまでして見る魚かぁ?と思われるかも知れませんが、私にとって真崎で初めて出現する生物は、どれも貴重で尊いのです。この魚もこの場所で画像に薄らと何個体か写っているカクレエビの仲間を索餌することができなくなれば、次の場所に移ってしまうと思いますが、まさか自分のフィールドでクダゴンベを見る機会が得られるとは思いませんでした。

そんな訳で、トップシーズンに突入した三保真崎の海の情報を鉄がお伝えいたしました。
(珍しく自撮りカットを掲載します)