夜な夜な潜り、昼間にカメラを持って入る事が出来ず、初めてお会いするゲストには「生態ばかり」案内し、撮影するガイドだと思われているらしい・・・・・・
そんな馬鹿な〜!(心の叫び)な鹿児島県本土より松田がお届けいたします。
今年はまたいくつも新たな気づきがあり、僕のテーマ「海を知る」上で少しの進歩がありました。
今回はワカウツボの産卵について書いていこうと思います。
他にもトラウツボやシマアラシウツボの産卵も確認しましたが、南さつまの笠沙エリアで最もポピュラーなワカウツボにクローズアップしていきたいと思います。
日暮れ前、海中が薄く暗くなり始める頃、多くの魚達が寝床についたり、産卵を繰り返す最中にシコロサンゴの隙間から2匹のワカウツボが近い距離感でソワソワとしています。
写真左の小さい方のワカウツボは体色が少し濃くなり、サンゴの狭い隙間から辺りを伺います。
大きな白っぽいオスはしきりに体を伸ばしたり縮めたりしながらメスへ求愛を行います。背鰭を小刻みに振るわせたり顔を近づけたり忙しない様子です。
オスからの積極的な求愛があり、それを受け入れる様になると主導権はメスへと移りそのタイミングなどはメスへと委ねられます。
産卵直前にはメスがオスの顔を甘噛みする様な仕草もあります。(オスからメスを噛む仕草もあるが、求愛の時にすることも多々ある)
サンゴから飛び出すように上昇産卵を行いますが、その際のメスの体の大きさには驚かされます。
体の半分近い部分が卵巣(卵)で占められ産卵口も大きく飛び出しています。
(これは産卵の瞬間だけでなく、産卵に至るずっと前から徐々に大きくなります)
上昇の瞬間はオスがメスの上顎を噛み(或いはお互いに噛んでいる)互いの体が離れ離れにならない様に体を固定する意味があると思われます。
産卵による卵の放出量はやはりかなりのもので、上昇した先の海底から1.5m程の高さで体をグチャグチャに絡ませ刹那の産卵をし、受精した卵を飛散させます。
これまで6度のウツボ仲間の産卵を観察し大凡の産卵までに至る時間や行動もわかり、何より潮で管理された産卵だと言うことも自身の仮説から確証へと変わりつつあります。
また、来シーズンも狙いたい!!そんなシーンとなりました。
鹿児島県鹿児島市下福元町7641
ダイビングショップSB
松田 康司