みなさん、こん◯◯は。
毎月7日は三保真崎から鉄 多加志が海中のホットな情報をお届けします。
今回は、ズバり!この時期の定番であるサクラダイの産卵について語りたいと思います。
サクラダイの繁殖行動は、早いと8月の下旬の大潮から、遅くても9月の中旬から観察
することができます。
ところが今年は、今か今かと待ち構えておりましたが、一向にその気配がありません。
早い年では、10月の中旬くらいから幼魚が観察できるのですが、その幼魚の姿を発見
することも無いのです。
現在も水温は22度と高く、この雨で表面の温度は下がると思いますが20度を下回る
ことは無いでしょう。
サクラダイはペアリングすると直ぐに、オスはメスを浅い水深へと誘導します。
左右にジグザグの動きをしながら上昇し、その間隔を徐々に詰めていってピーク
に達すると放卵放精します。
およそ、ペアリングした位置から2〜3mほど上昇して産卵に至ることが多いです。
基本は「巻きつき型」ですが、上手く抱きしめられないこともあります。
これは、下降の失敗型です。
ここから再度アタックして産卵することも稀にありますが、この状況はメスが嫌がって
いる状態なので、大半のオスは諦めるケースが多いです。
水温の影響で、産卵が遅れていると思い込んでおりましたが、どうやらそれは私の長年
の経験からの油断で、もっと総合的にこの海の生物を含めた環境の評価を怠っていた事
によって、サクラダイの産卵するエリアに変化があったことを見過ごしていました。
現在は新たな産卵のエリアも分かり、修正はできている状態ですが、この状況をもっと
早い段階で気づけなかったことに対し、悔しさを残すシーズンとなってしまいました。
サクラダイの産卵に関しては30年近い観察の経験値があり、これまでの状況が普遍的
であることに何の疑いもありませんでした。年差や月差、日差なども海流や潮流、その
他の影響(エルニーニョやラニーニャ、亜熱帯モード水)を加味しながら推察や想像を
巡らせながら、この海の生物や環境と向き合ってきました。しかしながら、その自分の
思考に対して懐疑的になれなかったことは、秋に実る稲穂でなくなっている驕った自分
を見直す契機となりました。
環境が変わっていることを認識し、自分もその変化に追従しなければリブートできない
事を学んだシーズンでした。