1月上旬になると、ここ函館では水面に赤や白のブイが乱立します。
これは刺し網漁の目印で「赤白」一対の旗が一枚の網のありかの目印となっています。
目的の魚はゴッコことホテイウオです。
道民の冬の味覚「ゴッコ汁」の季節が到来したのです。
スーパーの鮮魚コーナーにはご覧の通りごっこが売られ始めます。
卵を持った大きなメスに至っては1匹3千円ほどの高級魚です。
ここ函館は日本一の漁獲量があるのです。
ゴッコの漁法は「刺し網」です。
特にゴッコ網は他の魚の刺し網とは違い3枚1セットとなっています。
これがすこぶる優秀な網で一度かかったら逃れられない構造となっています。。。
そして刺し網にはゴッコ以外にもクロガシラガレイやケムシカジカ、アイナメなども漁獲されます。
そんな刺し網を掻い潜ったゴッコにはさらなる試練が待っています。
ミズダコに襲われたり、オオセグロカモメに捕まったりと多くの受難が待ち受けています。
それでも全てが漁獲される訳ではなく、難を逃れ繁殖する個体も多くいます。
繁殖は約50日ほどを要し、やがて仔魚たちが生まれ出てきます。
成魚になるまで3年ほどかかります。
生まれ出た仔魚たちは1ヶ月ほどで沖へと場所を移動しながら旅立っていきます。
ゴッコの漁期も終盤になると、刺し網にも多くの綻びが見えたり岩や人工物などにも絡みつきます。
そんな刺し網は船からでは回収する事が出来なくなくなります。
それでも刺し網は刺し網な訳でひっそりと漁獲し続ける訳です。
失われ続ける命があります。
このような状態を「Ghost Fishing」と呼びます。
ゴーストフィッシングとは、廃棄された漁具など(網、釣り糸、罠など)が海や水中で放置されたままになり、意図せずに魚やその他の海洋生物を捕らえてしまう現象を指します。
このような漁具は「ゴースト・ギア(ghost gear)」とも呼ばれています。
その捕獲力と呼ぶべきか、殺傷力よ呼ぶべきか、とにかくとり続けるのです。
これは世界中で問題になっていることでもあります。
これまでにもウミガメがこのように犠牲になったり
この地ではやはり非常に珍しいキタオットセイの子供も犠牲になっています。
念の為、お伝えすると最終的には完全に廃棄されたと確認でき次第、回収できるように水中で網を取りまとめて回収可能な状態としておきます。
また、場合によっては回収もしています。
ここはデリケートなお話なのでこの辺で切り上げます。
そんな訳で今年も深海からゴッコがやってきました!
函館からGruntSculpin佐藤長明でした。