過去のお話で、流氷のこない年はあったということは聞いた事がありました。
今年は流氷ダイビングの前半にポジションしましたが去年より27日遅く、1946年の統計開始以来、最も遅い記録となったようです。
また、波の高い日も続いたため、海に近づく事すら許されませんでした…
それでも結氷した川は潜る事ができました。
見上げる川面は曇天の空から静かに降り積もる雪が見られます。
こんな景色も冬ならではの一興に感じます。


毎年、秋にはサケやカラフトマスの遡上撮影を行いますが、「その後」を追いかける事はあまりありませんでした。

昔は1〜2月の川にひとりで入り孵化稚魚の撮影をした事はありました。
しかし、発見の喜びはあるものの雪で足元は悪く、川の水位は下がり苦行に近いものがありゲストをご案内する事はありませんでした。
そんな折、幸か不幸か今年は知床の良いコンディションの川で潜れる機会を得られたのです。
当初の目的からは外れるものの、できる楽しみを逃す訳には行きません!

実は昨年、某テレビ局の撮影で外気温マイナス23度、水温マイナス0度の川で潜水ロケを行いました。
河原にはフロストフラワーが咲き乱れ川から湧き立つ水蒸気周辺いはダイヤモンドダストが輝きまくっていました。
そんな川の中で出会ったのが、サケの稚魚でした。
理論上は生存するのでしょうけれども、全てが凍てつく環境は想像を絶していました。
そんな経験から「必ずいる」という確信だけは持って臨みました。
初日は覗き込む川底には想像以上に多く目につくのはホッチャレ(サケの死骸)と死卵のみ。



「生」を感じる事はなく終了しましたが、ホッチャレは微生物などに分解されていたり、天井を構成する氷には上流から運ばれた木々や木の葉などが封じこれられていました。
これらは、やがて有機物として海に供給されます。
明日も海は荒れる予報、慌てる事はありません。
そして翌日の川ではついに受精卵で生きている卵を発見しました。
中を観察するとやはり時々動き、生きている事を実感させてくれます。
なんとも言えない嬉しい出会いでした。

そしてその翌日には流氷シーズンに「ROBINSON」のお手伝いに来ている「Diving Shop SO BLUE松井一真くん」が孵化仔魚を見つけてくれました。
荒れた海を眺めつつも川で充実した潜水ができました。

そんな訳で最終日は軽い打ち上げで僕の流氷シーズンは終了しました。

つい先日、網走に流氷が接岸し流氷初日を迎えました。
これからウトロへ向かう方は流氷ダイビングが楽しめる可能性があります。
良い海に恵まれる事を心からお祈りしています!